NHKスペシャル 明治 第二集 模倣と独創

 よく考えると、記載が無かったので、再放送翌日の日に切りが良いので公開する。
 まず、このシリーズ全般に関して、これを取り上げる度に言うことだが、述べておく。OPのBGMがCGと完璧に適合し、素晴らし過ぎる。NHKの担当者には、直ちにO.S.T.を発売されることを強く勧める。絶対に売れる。まず、余が1枚は確実に購入する。現状では、録画したデジタル素材からBGMデータを吸出し、限定的に楽しむことしか出来ない。それが残念である。直ちに、発売計画を立案すべきと進言する。
 第二集の内容に触れる。今回は、外国文化の日本導入について取り上げられた。開国以来急速に欧米化する日本。日本独自の文化は、消えて行く。欧米人は、それを危惧したというのが全体の構図である。欧米人が収集した日本に現在存在しない日本文化の物品の紹介から解説が始まってゆく。日本文化は欧米化してゆく中、日本人は、欧米化に目を取られ、日本文化の記録を残さなかった。その代役を行ったのが、欧米人である。欧米人が、日本を来訪し、記録を行った。代表的な本として、大日本が紹介される。著者は、ヘンリー・ダイア氏である。ダイアの大日本は、日本でも翻訳されて出版されている。価格が高いが、ぜひ購入したい文献である。優れた明治の日本変化を分析している本であるからである。
 日本は、欧米文化を模倣した。黒船来航時に持ち込まれた数々の品。その中で蒸気機関車の日本人製作模型、蒸気機関車雛形が紹介される。その模倣力の高さは、ペリーの報告書から読み取ることも出来る。ペリーの報告書は、現代の日本発展を優れて予想している文章であり、驚く。鎖国で情報封鎖をしてきた日本が、開国後横浜などの外国人居留地などに住む外国人から文化を取り入れ、実用的なものはすぐに取り入れた。欧米の技術を学ばせる東京大学工学部の始祖、工部大学校が設立される。副学長ヘンリー・ダイア氏は、日本人が文献のみの知識しか持っていないと指摘し、6年間のカリキュラムの中2年は、外部実習への参加を行った。机上に役立つものではなく、社会に真に役立つものを作ることが技術者だという認識からである。その教育は、大きく成功し、工部大学校の卒業生には優秀な人材となった。
 その優秀な人材の一人、田邉朔郎が取り上げられる。田邉は、ダイアと非常に親交が厚く、ダイアが帰国した後も手紙で、日本の実情を伝えたりした。田邉は、世界初の海底鉄道トンネル、関門トンネルを設計したことで有名である。田邉は京都の出身であった。田邉の夢は、琵琶湖の水を京都まで引くことであった。琵琶湖疎水の建設である。西洋の文献を読み、調査を行い、竪抗方式という方法で建設することを提案する。当時は日本は技術力が低く、長距離を直線的に掘ることが出来なかった。そこで、距離を分割してトンネルを掘ることにした。その結果、琵琶湖疏水は完成した。疎水がもたらした水は、生活に、発電に用いられ、京都の近代化が始まる。ダイアは、田邉の分割して掘削した方法を、独創的と評価した。そして、日本人の独創性を優れていることを指摘する。模倣のみしか得意であるという認識は、極めて表面的な考えだと指摘するのである。
 技術者は、革命であるという言葉通り、日本は大きく発展する。だが、日本独自の文化は急速に消滅してゆく。禁止されていた肉食の解禁による食生活の変化や和服から洋服への変化。欧米人は、日本独自の文化が消えることを危惧した。イザベラ・バードの旅行記がその内容として紹介された。その危惧は、現実のものになっていることを我々は実感を持って認識できるであろう。
 日露戦争の勝利を持って、日本は列強の一角を担う大国となる。ダイアは、その後に日本の発展をこういっている。

 願わくは、日本がイギリスのことをそっくりまねしようとしたりしないでほしいものだ。(中略)物質的な目標だけをむやみに追求していては、理想的な繁栄には到達できると悟るにちがいない。
 今、日本に心から望みたいは、領土拡張などめざすことなく、通商と工業とによって、広大なアジア大陸を若返らせることに専念してほしいということである。
ヘンリー・ダイア

日本の急速な近代化は、列強を模倣し、軍事大国へとなる。その結果は、歴史を学ぶ人。日本人なら当たり前に認識していると思うので、割愛する。ダイアの日本独自の文化を残しつつ、日本が繁栄してほしいという願いに感動した。
 余は、大帝国思想を持って、これを実現したい。

参考推薦文献

大日本―技術立国日本の恩人が描いた明治日本の実像

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余はまだ購入していない、だが近日中に購入したい。実に感動する内容であると期待している。

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