物語日本史(上)

物語日本史(上) (講談社学術文庫)

物語日本史(上) (講談社学術文庫)

 我々の大学での日本学という講義の指定教科書である。日本学は、真の国際人。即ち、アイデンティティーを確立し、母国の歴史や社会などを理解した上で、外国人と交流を行い、その中で母国を紹介でき、対象外国人と文化の相違などを議論できる人間である。それを作る授業である。その内容は、まだ始まったばかりであるが、日本神話に関することや日本倫理観などの学習である。その中で、神話や歴史の勉強のテキストとして、この物語日本史が選ばれた。
 この本は、読む前は最近の本であろうと認識していたが、古い文献であった。初版は、1979年である。これは、冒頭の作者の前書きを読んで気づいた。作者の前書き記載日付でもわかるが、その前書きの内容から想像できるものが、戦後10年とか20年のものだからである。この時点で、作者年老いたひとだと感じた。作者平泉は、1984年に死去している。

 物語日本史。日本の歴史を日本の持つ古典を通して学ぶ内容と成っている。神武天皇から平安時代程度までが物語日本史(上)の範囲である。日本の古典が数度と紹介されるが、現代文で訳された内容が、本文として掲載されているので、特に理解不能などという障害は発生しなかった。
 幼少のころ、日本神話の絵本を見たことがあったが、内容はほとんど忘れている。アマノミナカヌシノカミから始まる日本の多神教神話から日本がどのように建設されたか、その建設中での出来事などを紹介してゆく書籍で、物語形式に、古いほうからあたらしいほうへ進んでゆく形式である。
 3時間ほど使って、読み終わった。確かに日本人としては最低限度必要な知識ではないだろうかという認識は生まれた。なるほど、アマノミナカヌシノカミが日本神話で登場する無から生まれた神。などである。随所に古典や和歌などが盛り込まれているこの本であるが、それほど苦労せずに読めると思う。入門としては良いのでは。

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