（蘇生人間）CASSHERN [DVD]
実際に新造人間キャシャーンのアニメを全話見たことが無いので、アニメとどのように異なるかが不明瞭なのだが、相棒のサイボーグ犬は蘇生人間キャシャーンに映画では出てこなかった。
まず、不満に思ったことを書こう。
１．大亜細亜連邦共和国は、共和国ではない。
良くある歪曲されたイメージの悪の帝国と名乗ったほうがしっくり来る。解説サイトを見ると、大日本帝国が大戦に勝利して、大東亜共栄圏のようなものを作ることに成功したようである。
この国家では、国家元首は日本国の天皇のようで、そうなると共和国という定義は当てはまらない。共和国で行われる共和制は、国家元首が国民の選挙によって選出されるもので、世襲などを行う君主ではない。
この場合、大亜細亜連邦、大亜細亜連邦王国、大亜細亜帝国、大亜細亜連邦帝国。この何れかが適当であろう。残念ながら、世界に蔓延る悪の国家としてのイメージとするなら「帝国」という国家政体をあらわす、大亜細亜帝国と名乗るが妥当だろ。だが、これでは一般すぎて面白くない。また、大亜細亜連邦王国というのは語呂が悪い。大亜細亜連邦が妥当なところか。
同時に、蘇生人間側も王国ではなく、帝国と名乗ったほうが、残念ながら雰囲気が出る。
２．映像至上主義に陥りすぎ
この蘇生人間キャシャーンは、劇場公開後嘗て無い駄作という表現が多く見られた。その時期に公開していたデビルマンには辛うじて勝ったが、一般的な映画としては酷い作品であると伝えらた。この点は、この作品を見て大筋理解できた。ストーリーに対しての補助が少なく、映像美に囚われすぎているのである。また、国家・歴史・科学力などの説明が乏しく、どのような世界なのかが映像でしか理解できない。特に第七管区という設定は、視聴後ネットに潜りこのような地理背景があるということを理解した。しかし、第七管区のみ面積が過度に小さいとは感じた。だが、これは劇中の設定であるオリジナルヒューマン（人類の始祖たる存在アダムのこと）のが住む特別なエリアだったからだろう。
さて、戻るがこの作品は、GIS（攻殻機動隊Ghost in The Shell）でメディアによってジャパニメーション（この言葉が、好意的な言葉かどうかは別とする）と持てはやされた日本の映像業界がマトリックスという新映像表現に負けたことを苦やしみ作った作品に見える。（マトリックスは、GISの影響を受けて製作されたことは、忘れてはならない。）
そういう過度の意思がある性か、映像至上主義に陥り、マトリックスのように多少ストーリーが難解でも受けるだろうという思いや、監督の美的センスのみで構成された映画となっている。（監督のセンスで作ることは完全には否定しない。富野御大や押井監督の作品もそういう意味不明系の作品がある。特に天使のたまごはその手の最優秀映画である。）
だが、これは同時期に公開されたマトリックス第二部や第三部であるリローデット、レボリューションと同様の香りがして仕方が無い。最近CGだけ綺麗であればいいという意味不明作品且つくだらない作品が多いので非常に困る。この作品だけを責める訳には行かないが、ここまで書いてしまった。
他にもあったのだが、帝国宇宙軍最高司令長官と会談をしていると、忘れてしまった。一時の感情の高まりであったようだ。短文でならまとめられるものとして、
- FFっぽい。特にFF7の新羅的構造、セフィロスとクラウド的な敵対関係、FF6のガストラ帝国的な雰囲気
- 神の意思としての稲妻が、2001年宇宙の旅の「モノリス」に見える。
- ヘルメットが未使用。
- 蘇生人間鉄也の強さに強弱が在りすぎる。弱い時は弱い。マトリックスのネオのようにしたかったのかな？
- なぜ城を砲撃して、移動要塞を砲撃しなかったのか
- 移動要塞は、大きければいいという物ではない。デザインももう少し頑張って欲しい。
- 鉄也、ルナの両者死亡は芸が無い。
- 最後の宇宙描写はイデやエヴァの人類再生を彷彿させる。
- 最後に新造人間ではなく、如何見ても蘇生人間であること。
これぐらいだろう。ここまでぼろくそ書いてきたが、解釈サイトを見ることによって、ストーリーの意味不明さがかなり補完されたことで、国家などの設定がストーリーの意味不明さにマイナスされなくなってきた。ということで、余も映像至上主義までは行かないが、美しい映像は好む派であること、国家設定に興味があるという2点が余の性質に適合するため、駄作や最悪の作品という評価はさけれれ、通常の作品に落ち着く予定である。
この映画をキャシャーンとしてみた人は更に厳しい評価をしているだろう。
参考解釈サイト
