S.T.A.L.K.E.R. - Shadow of Chernobyl

S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl (輸入版)

S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl (輸入版)

 アブストラクト
 Half-Life2が発売された頃有力対抗ソフトとして、ホワイトペーパーが提示されたソフトがある。*1Half-Life2が世界のFPSゲーマーにとって、ある種の登竜門となった2004年から3年経った。その年月で本稿で語るFPSソフトは一部の人々の片隅に残るソフトとなっていた。そして、その記憶の多くは「発売延期」であり、計画変更でもあった。
 本稿では、「S.T.A.L.K.E.R. - Shadow of Chernobyl」というPCアクションゲームについて、デモではなく製品版の感想を記録したい。


 キーワード
 PCアクション、FPS、ストーカー、ストライカー、スタルカー、S.T.A.L.K.E.R.、STALKER、チェルノブイリ原発事故、Иди ко мне、MarkOne、RPG-7u、MOD


 1.製品版購入
 DEMOプレイ時に本作に対する評価は、購入すると損をすると結論付けた。それから約1ヵ月が経つ。製品版購入の理由は、3つある。本作が基本的にシングルプレイであり、DEMOでは触れることが出来なかった部分が製品版にこと。そして、GWという長期休業を乗り切るためである。
 PCアクションはバトルフィールド2142ノーザンストライクの発売から本日まで某匿名巨大掲示板にて話題となるような大作の発売がなかった。そんな中異色を放っていたのが、本作の当該スレッドである。読んでゆくと、確かに前回指摘した欠点があるものの、シングルプレイの深さは筆者の感覚を掴んでいた。当該スレッドでは、ネットワーク対戦はほとんど語られず、シングルプレイが大半の話題となっている。そのことを踏まえ、欠点を知りながら、本作を購入した。
本作に対するMOD製作も製品版購入に至った大きな理由である。PCアクションのほとんど100%が外国製ソフトである。そのためストーリー理解の為に「日本語化」された製品を楽しむことは、販売会社による日本語化と有志による日本語化がある。本作では有志による日本語化が行われ、短期間で日本語化に成功した例である。


 2.評価-ストーリー(メインクエスト)
 日本語化によるプレイを行ったが、ストーリーの結論は理解できなかった。それは本作がマルチエンディングを採用し、すべてのエンディングを見るには、7回プレイする必要がある。それらのエンディングの相関関係がまだ理解できていないのでストーリーの最終的結論は理解できていない。
 結論、特に最終パートのチェルノブイリ原子力発電所については、上記のとおりだが、全体的な流れは理解したつもりである。主人公MarkOneが自分の失くした記憶を求めて、任務(クエスト)をこなしてゆくのである。任務はストーリーの根幹にかかわる所謂メインクエストとサブクエストがある。メインクエストの数は5個程度で、慣れればサブクエストをすべて無視し、MODを駆使することで、4時間程度でチェルノブイリ原発に到着することが出来る。
 メインクエストがストーリーにかかわるものなので、それについて主に記載を続ける。メインクエストは、チェルノブイリ地区(作中ではZone、ゾーンと呼ばれる)の謎を隠す軍の情報を探るスパイとして、主人公が活動する。軍から書類を盗み、情報を貯める作業を続け、最後は謎の中心部チェルノブイリに到着するのである。メインクエストでは、軍基地、研究所2箇所、精神波発信基地(筆者による推測名称)、チェルノブイリ原発とそれらの経路として洞窟、平原、山道とクエストの場所設定としては名前を見る限りでは、妥当である。
 場所設定は良好であるが、中身が薄いと言わざるを得ない部分がある。軍基地は一般的な我が国の小学校の広さ(3階建て、校庭つき)で、軍基地内部にマップ的な複雑さはまったく無い。盗む書類も机の中においてあるだけである。研究所2箇所も直線距離としては短い構造である。
 確かにメインクエスト1つの流れとしては、「依頼主〜メインクエスト実施場所への移動(平原、洞窟、山道)〜メインクエスト実施場所〜メインクエスト実施場所から依頼主の元への移動(同じ)〜依頼主」であり、中身が薄い。しかし、この全体的な作業を含めると、装備(特に弾薬と防弾服)の消耗度から中身の充実度はゲームバランス上「適当」な範囲であった。
 マルチエンディングは1つしか見ていないのだが、某匿名巨大掲示板やその他レビューにあるように、唐突さがあった。いきなりムービーが流れ、その後テロップが流れる。いったい何なのかわからないまま終わるという感情を多くの人が持つのではないだろうか。


 3.評価-サブクエス
 サブクエストは正確な数字ではないが、30個程度あるのではないだろうか。主な業務(ゲーム中2つ以上受ける可能性があるもの)は暗殺、害虫駆除、拠点防衛支援、探し物である。ほかに救出のサブクエストがあるが、これは施設規模が建物ダンジョンとしては最も筆者が適当と感じるもので、本作で最も楽しめるクエストであった。さらにサブクエストにならない場合があるのだが、救助がある。モンスターや敵性勢力に襲われ、負傷を負ったが、回復薬をあげることで助けることが出来る。*2これはゲーム中で3,4回遭遇する出来事であるが、サブクエストとして用意されているのは1つ(Fox救助)だけである。
 メインクエストにしてもサブクエストにしても、どこに行けばいいか示す「矢印」があることは好評である。言語は通じなくとも、図表は初等教育を受け終わった人間なら共通して理解できる。だが、クエストによって矢印が表示されないことがあり、何をすればいいかわからず、達成できないクエストが多かった。どうやら、倒した敵に触れることで新しい情報入手し、それにより矢印が追加されるものと、害虫駆除のように指定するマップから探し出して、皆殺しにするタイプがあるようだ。特に後者はマップがある程度広い上にモンスターが移動するので、達成確率がかなり低くなってしまった。矢印を複数出すなど、ある程度工夫がほしかった。
 サブクエストは豊富だが、時間制限があるものが多く、メインクエストの評価で書いた流れを実施していると間に合わなくなることが頻繁に起こる。この点については疑問であり、時間制限は不必要なシステムだと感じた。


 4.評価-システム(包括して)
 システム面の問題点はDEMOプレイ時に概ね確認できた。シングルプレイにおいても同様に出来の悪さを感じた。特にメニューのスクロールバーのスクロールが遅いことが最も気分を害した。装備が増えた場合スクロールして装備を選択するのだが、一般的に考えてスクロールが遅すぎる。全体的にメニューにおけるマウス移動量の設定値が少ないと感じることが常である。
 筆者も一々記憶していないが、NPCが宙から攻撃してきたり、オブジェクトに挟まれて移動不能になるなどの事例があった。個人的にオブジェクトに挟まり移動不能になった事例はバグとして最悪の事例で、一気にプレイする意欲が失われた。
 さらに、ロードの遅さが気になる。確かにあれだけのマップをレンダリングする必要があることから、ロードは必要だが他のゲームと比較しても4倍は遅い気がする。やはり、ソフトウェアの質的に問題が多い。*3
 システムについて最後に1つだけ言うと、「重量制限とそれによる弊害」はゲーム性を大きく損なっているように感じた。重量は現実世界のように、1人の兵士が持て、活動できる数値に設定されているが、ゲームであることを考え改善すべきである。REDORCHESTRAのようにリアル志向のゲームと題するのなら、仕方が無いが、ゲームとして楽しいか、楽しくないかを考えてほしい。それによる弊害とは持久力の低下である。重くて動けない場合、荷物を預ける箱があるのだが、この箱はゲーム世界で共有されておらず、荷物の移動は大きな苦労を要する。重量制限をするなら、せめて荷物を預ける箱を共有するべきである。
 システムに関しては、批判するときりが無い。この点は、我慢してプレイするかMODを導入するしかない。


 5.評価-ウェポンシステム
 基本的にFPSに求めることは射撃であり、FPS撃てないことになることが最も腹立たしい。この手の事例は敵性勢力が人間以外の場合に多い。筆者が人間以外の存在が出現するFPSが嫌いな第一の理由として、弾薬をリスポンしないことがある。バトルフィールドシリーズは、援護兵が弾薬を配ることが出来、プレイヤーに弾薬を提供できる。そのことにより、初期装備を使って戦うことが出来る。シングルプレイでも初期装備を最後まで使える弾薬配置をしてほしい。そのため、筆者は即時に「impuse 101」や「give all」、「guns」といったコマンドを使用する。なお、本作では外部ツールを使用することで、弾薬無限を達成した。
 本作の魅力の1つは多様な武器である。あらゆる層に対応できる武器が容易され、「俺をヒトラーの1km圏内に配置してくれれば、ドイツ戦は終了する」と自負するスナイパーや「ソマリアでは29$で手には入る世界的自動小銃、AKこそ我が銃」という民兵志向の人にとっては、かなりの選択肢がある。ただし、これらの火器は後半で手に入る。序盤から中距離戦闘を強いられる本作では、序盤にシングルアクションでもスナイパーライフルやスコープつきのライフルが手に入らないことは欠点では無いだろうか。同様に弾薬も他の作品には無い細かさである。
 これらの取り組むは評価できるのだが、通常にゲームを進めた場合次の問題が起こる。即ち、クエスト中に弾薬が確実になくなることである。本作は紹介したとおり重量制限を設けており、持ち運べる弾薬に限りがある。またほかにも持つべきアイテムがあり、何かとかさばる。医薬品などは想像以上に重量をとる場合があり、これらのバランスを自分で楽しめるという人はよいと思うが、筆者はそういうことはまったく楽しめないので、初回プレイ時では弾薬の限界を感じた研究室2つ目以降完全にチートを採用したプレイとなった。

 6.評価-総論
 DEMOにより理解したことを踏まえて購入した。それで後悔したかというと後悔はない。但し本作には個人的に調整が足りない分が多いと感じている。このようなスタイルのFPSゲームは新鮮であったが、ソフトウェアの完成度が低いのが許せるのであれば、または無視できるのであれば、現在のMODの充実を考えるとシングルプレイは十分楽しめる内容である。
 最後に次期パッチが購入する前に出るという話題があり期待していたが、まったく公開される気配が無い。相当量の改良をしてくれるのか、いやはや問題が難しすぎて解決できないのか、どうなのであろうか。

 参考リンク
 日本語化MODなどがある日本のストーカーの集うバー:FrontPage - S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl,http://f44.aaa.livedoor.jp/~mediaact/pukiwiki14/pukiwiki.php

 以下は自己責任で導入せよ。

*1:ddk氏談

*2:Иди ко мнеと叫んでいるNPC

*3:oblivinと比較して、oblivionのほうが画質も上

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