Half-Life2 mod Mistake Of Pythagoras

 感想
 本作は、シングルプレイmodとして、優れた評価を与えなければならないと思う。それは、シングルプレイmodの中でも物語が用意され、ゲームのクリアと同時に物語の終演を迎えるからである。その物語を作る材料として、本編の音声や字幕が再利用されて作られているのは、驚きである。制作者の本編に対する理解は並のものではない。
 さて、このmodは先日紹介したNightmare House Remakeのように「戦闘」以外のもので楽しませてくれるゲームである。ただし、本作の場合戦闘も白熱する。ゲームに配置されたアイテムが少ない割に、敵が大量に出現するポイントが数カ所あり、場合によっては体力1桁や弾薬切れも経験することになる。戦闘面で言えば、工学迷彩ガッポイは苦戦した敵である。ddk氏も筆者が警告したが、余裕といって遊んでいたら、3回光学迷彩にやられていた。
 戦闘面を先に記述したが、本作の肝はやはり、本作全編を通して感じ取られる形而上的な世界感である。主人公は家から出たところで、空から数字が降ってくるのを見る。異空間から、幾何学的なオブジェクトが出現する。この世界はどこかがおかしく、間違っている世界となった。それを修復し、健全な世界を取り戻すのが主人公の目的である。後半に行けば行くほど形而上的な世界は拡大し、数学的な美しさや、ナンセンスな世界を見ることができる。
 特筆すべきは、最終局面における主人公のAKIRA化である。アニメAKIRAで描かれる超能力者のように主人公は見たもの(Aimしたもの)を吹き飛ばし、爆発させる超能力を持って戦う。ガッポイは視線に入っただけで吹き飛び、列車は浮かび上がる。究極になったところで、主人公は現実世界に戻り、物語の終局を見ることになる。
 これほど形而上的な世界観を広げながら、結末として用意されたものは、現実的なものであり、その広がりが正しく終局し、何となくでもこの作品の物語をつかむことができる。これは、ほかのシングルプレイmodに無い良さである。内容的には本編全体5分の1程度であるが、その点を考えて拡張編として扱っても良い内容である。物語の内容も、第2のhalf-life2的なものであり、非常に適合しているところが素晴らしい。
 そもそも形而上的な世界であり、それを言葉で伝えるのは難しい。プレイしてほしい。なお、公式ページは英語であるが、本作の作者は日本人である。ヒントもあるので、詰まった場合そこを参照すると良い。


 ダウンロード(公式サイト)
 http://www2d.biglobe.ne.jp/~ks_wca/mop/index.htm

 SS
 
 タイトル画面
 
 別世界からの贈り物
 
 ピタゴラスの証明
 
 見たものが破壊される、宙を舞うAKIRA
 
 別世界からの来訪者

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