MGS4レビュー

 

 はじめに
 「もし筆者がPS3を買うことがあるのならば、それはMGS4の発売日である。」
MGS4の情報発生時期から曖昧ながらそのような仮定を考えていた。そして、その仮定は現実と物となる。MSX時代から考えれば、20年も続くメタルギアシリーズの完結作MGS4についてのレビューを展開したい。
 なお、本稿はプレイ済みの読者を対象とする。
 
 ストーリ批評
 完結編にあるパターンとして、登場人物が急速に死亡する流れがある。かのゼノサーガ3でも最終局面にシリーズを通して基礎にあった登場人物が一気に離脱した。本作MGS4でもその流れがあった。EVA(ビックママ)、リキッド・オセロット、ビックボス、ゼロ少佐、ナオミ・ハンター、ヴァンプである。ヴァンプについては、MGS2の登場からであり、比重としてもそれほど重要なキャラクターとはいえないので、生死はそれほど気にならない。ところが、同時にナオミが自殺したことはストーリーの流れとして、疑問を感じる部分がある。後に、意図としたことが説明されるが、タイミングが悪い。
 タイミングの悪さでは、ビッグボス、ゼロ少佐もそれに近い。そもそも、登場が唐突過ぎて今更感が非常に強い。ビッグボスにおいては、これまでのシリーズで死んだ死んでいない、クローンがいるなど生死にかかわる事象が多く、MGS2では形而上的なストーリーも相まって理解の妨害を進めた。そのような認識があり、且つMGS4ではビッグボスは焼死する描写が描かれている。説明として、得意の「クローン」が使われるが、ビックボス本人であっても差し支えは無いと思われる。その場合、「らりるれろ」の解説が不足することが予想されるが、EVAで十分だろう。EVAを生存させておけば、問題なかった。ゼロ少佐についても確かに「らりるれろ」を消滅させるため、その起源を取り除く「0」にすることを強調したかったと考えるが、MGS3やポータブルオプス時代とのキャラクター性の差が大きく、違和感が強かった。
 ただし、ストーリー設定の流れは、MG時代からMGS3までの事象をうまく取り込んで、整理し、確かにそうだったなと考え、思い出せる内容になっており、設定に大きな矛盾は無かったと思う。すべての始まりは、ザ・ボスである。


 ステージ批評
 今回のMGS4で過去の作品と比べて優れている点は、2点である。ステージが単調ではないこと、射撃システム及び調達システムである。まず1つ目の評価点がステージとなる。中東、南米、北欧、アラスカ、敵要塞である。今までのMGSシリーズは、基本的に同一気候を持つ同一地域にて任務を終始行う。本作では、既に挙げたように5つのステージが展開され、それぞれのステージ気候や特色を生かした面白さがあった。近年、中東を舞台とするゲームが急速に増えているが、本作もその例になる。*1
 しかしながら、これだけの個性を持つステージ立地を選びながら、それぞれのマップが極めて短い点が悔やまれる。この原因は、本作最大の批判点から発生したことと思われる。各ステージは、ムービーパートを無視すればいとも簡単に終局する。各ACTの正味のプレイ時間が極めて短い作品といえる。その結果、ユーザーが操作し、「遊べる」空間もこれまでのMGSシリーズで最も短いと筆者は感じている。*2
 この点が、もうひとつの利点の価値を大きく下げている。プレイシステムが良くなったが、「良いシステムで遊べる」場所が十分無いのである。

 
 システム批評
 システムは、これまでのMGSと大差ない。基本的に「古い」武器選択が用いられ、多数の武器を有効に整理するシステムとは言えない。システム面では、MGSとしての独自の改良は無いと思われる。
 射撃システムや武器の売買を見ると、明らかにバイオハザード4の影響が見受けられる。バイオ4は、射撃システムは従来のバイオハザードシリーズの腐った射撃を改善し、「狙える」射撃を実現した。その結果、非常に好評を得たゲームである。それを採用したことは、非常に評価できる。
 この射撃の「つまらなさ」は製作者側も認識していたようで、サードパーソンによるアクション性とファーストパーソンの射撃性を両立させる手法には実験の後がある。MGS3サブシスタンスでは、主観射撃が導入されるなど改良を図っていたことがわかる。その中で、バイオ4の成功を取り入れたと思う。さらに、バイオ4で導入された購買システムを強化し、弾薬調達を可能にしたことは、「撃つ」ゲームを好む筆者に持って付けの内容である。
 結局、カモフラージュにしても、MGS3からの継続であり、システム的にMGS4独自のものは無いだろう。

 
 ゲームとしての批判
 今更指摘する必要は無いが、レビューである以上一応最大の欠点について触れておく必要がある。やはり、完結編ということで、複線を処理するムービーパートが多すぎる点が本作の最大の失敗である。もはやゲームではない。映画に近い。MGSシリーズの完結編としては、良かったが、MGSシリーズのゲームとしては、ムービーパートの多さが原因で評価が低くなる。本システムの射撃・購買システムを導入したMGS3があれば、バイオ4を超えていただろう。
 MGS4サブシスタンスが発売されるのならば、ムービーの半数はカット。ステージの長さや密度を2倍から3倍に増量すべきである。そうすれば、MGS4は「楽しめるゲーム」になる。結局2週プレイしたが、2週目はムービーを原則的に飛ばしてプレイした。その結果、非常に中身の無いゲームであった。
 ムービーを見るためにリプレイするという気にはならない映像時間数であり、ステージの短さがバイオ4射撃システムを行かせきれず、「遊べない」ゲームである。

*1:BF2、CoD4、BlackSite:area51、PayBack3、BF:BCなど

*2:一番長いのはMGS3だろう。

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