今日のコラム 実験空間創造学(昨日の続き。)

メインタイトル:ロボットに「心」は宿るのか?
サブタイトル:『攻殻機動隊』に見るヒトとロボットの未来社
講師:神山健治/監督、脚本、演出 AND 瀬名秀明/作家・薬学博士
備考URL:http://www.kitnet.jp/sozogaku/index.html


第73回実験空間創造学 
ロボットに心は宿るのか 攻殻機動隊に見る人とロボットの未来社


神山氏:

   毎年、クリエータの個性が弱くなっていると感じている。
   アニメを作りたいから、IGに入りたいというものが多い。
   それは個性であるが、希薄だと思う。
   クリェイティブな作業の中で、突然伸びる人もいる。そのきっかけは明白には判らない。
   でも、具体的なイメージを獲得できた人が伸びるのではないかと思っている。
   例ですが、マクドナルドの店員が、老人の人が注文に来た時に、
   若者と違って、ゆっくり話したり、丁寧な対応をする考え方、
   行為をする必要があることに気付く人である。
   そのイメージが出来た瞬間ではないかと思う。
   アニメ作品を作ったり、攻殻を作ったりしていると、いつか飽きる。
   その時に新しいものを作りたいと考える。
   でもほとんどの人が、旧来のものの否定形となってしまう。
   でも僕は、押井守と同じ作品を作りますといった。
   同じものを自分で作ってみて初めて差に気付くのである。
   それをくぐることが無個性から個性の生まれる時ではないかと思う。
   考えにヒントがあると思う。

<↓ここから今日の分↓>


発言者不明(おそらく神山氏):

      他者をそっくり真似する。人間と同じことをするロボットを造る。
      人との違いを知ることが出来る。
      匠や師匠の技をまず、真似てから、自分の考えや個性を発揮し、
      新しいものを創造する。

発言者不明:(おそらく瀬名氏)

      人間とロボットを近づけて行く中では、
      機械らしさの区別や人間らしさの区別はどこでするのでしょうか。
      ヒューマンニュティーコンシャスの時代。自分が人間と安心できる社会。
      SACと違う世界が生まれるのではないでしょうか?

神山氏:

なるほど。

ここでうちの大学のロボット紹介。
2足歩行ロボットのデモ。

神山氏:

アニメのロボットはうそがある。実際見たものと重量感が違う。
    タチコマが屋根の上で走るシーンは、うそ。
    また、稼働時間も無限だしね。

瀬名氏:

ロボットエンジニアに求められることはなんでしょうか

神山氏:

どこに到達したいか、明確なイメージを持つこと。
    車で言うと、スピードを追求するとか
    どこで開発をやめるか、落しどころが発明には必要。
    夢追求型、アシスト機械いろいろあるが、到達したいイメージを持って欲しい。
    ヒューマノイドは汎用性があるが、用途がわかりにくい。

瀬名氏:

攻殻機動隊など他のSFの影響は重要ではないでしょうか

神山氏:

マトリックスの世界は、支配したコンピュータが作り出した世界といわれている。
    しかし、あれは人間が本当は作ったものではないだろうか。
    それを助けるのはロボットだとおもう。
    マトリックス世界は人間が作った。
    その上で義体や電脳化の影響の物語を機会があれば作りたい。
    (攻殻機動隊3rdのストーリコンセプトと思われる。あればね。あってほしいが)

瀬名氏:

攻殻のQRS端子、首筋にあるのはなぜ

神山氏:

ありそうな雰囲気、皮膚感が強い。絵になった。
    脳に直接接続しているという様子が良くわかった。
    その様なイメージを見ている人は持ちやすかったはず。
    ヴィジュアル化されたものは具現化される。いつか電脳化は実現されると思う。

瀬名氏:

ゴーストとは?(確かこんな感じの質問だったはず)

神山氏:

肉体が抜け出した精神の身体性と環境のつながり。
    電脳化で社会がどこまで見れるかと疑問に思う。

瀬名氏:

パワードスーツ、ヒューマン、タチコマ型どれがいいですか

神山氏:

タチコマ型、自立型がいい。
    何かに特化している方が、システムの中では生き残りやすいし目立つ

瀬名氏:

電脳化などで経験の差を一瞬でとらえることはできるのか。

神山氏:

アニメの仕事ではしか僕はわからないんだけど。
    職人技がいらなくても出来るようになってきた。
    追求も必要だが、インスタント性も欲しい。
    最終的にはインスタントのほうがいいと思う。
    仕方ないことである。極めた技術を電脳化などでソフトをインストールして、
    出来るほうが良い。とおもう。
    技術などを教える師は、自分のすべてを教えたし、
    自分を超えることを恐れるどちらの感情も持つ。
    ロボットなら、師は抜かれてもいいのではと思うと思います。
    劣化コピーならいいと思うと思うんです。
    その人にもし弟子が居なかったなら、
    ロボットでも技術が伝承できるならうれしいと思います。

瀬名氏:

バーチャルアイドルはサイボーグの方が良い
    模倣を当初から目的としている場合はどうなのでしょう
    人間がロボットを模倣することや共有することが出来ると思います。

神山氏:

人は努力をするか、放棄するかという点で個性を発揮し、ロボットに勝てる。
    放棄は負であるが、人間の選択肢として存在すると思う。

瀬名氏:

人間が、決断することで、個性を発揮できるということですね。

瀬名氏:

では最後に学生へのメッセージをそれぞれ述べて終わりにします。

神山氏:

システムを破壊してゆく中で、クリエィティブな能力を生むことができるが、
    システムの中で生まれることもある。システムに耐え、
    突破し、クリアできることで、自分のイメージを具現化できると思う。
    簡単に言うと、あきらめずにやって欲しい。

瀬名氏:

ビジョン持って欲しい。今成果を挙げている人も、昔は学生だった。
    ステップとして、自分で物を作る、他者が出来なかったことをする。
    その瞬間に、自分だけの世界が生まれる。それが価値になる。
    観ることが出来きても注目できる人、出来ない人も居る。
    その差は、人間の経験の差である。
    自分だけが見えるビジョンを上手く作り出したとき、何かが出来る。

以上。である。

 コラム:実験空間創造学(昨日の続き。)
 著者:大宇宙拡大大帝国絶対永久皇帝大帝国大元帥
2005.1.21 THE IMPERIAL BLACKEye 2005

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