陛下の御質問―昭和天皇と戦後政治
- 作者: 岩見隆夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/05
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 9回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
昭和天皇の写真を使った本。手にとって数行読んでみた。非常に面白い。購入を決めた時であった。
この本は、昭和天皇とその面会者との短い対談の中で、陛下が述べた言葉を、編者が纏め、解説を行っている。解説も良く、的確であるのだが、まず何と言っても、陛下の言葉が面白いといえば、不謹慎と成るかも知れないが、面白いのである。だが、決して面白いだけではない。この本はそれを明らかにしている。
日本国憲法施行に伴い、天皇は政治発言、行為の一切を禁じられ、内閣がその助言にあたると明記された。陛下はこの法規制十分に認知されて、政治発言を控えながらも、絶妙な発言をし、行政の重臣に影響を与えていたことが伺える。
陛下は、昭和初期には、戦争の日本で生き、昭和末期は平和な日本で生きた。その180度変わった世界にも、陛下は柔軟に対応された。さらに注意をする為に述べるが、陛下が日本を直接指導されてたのは、226事件と終戦だけである。それ以外は、軍部、内閣の暴走であった。陛下は騙されていたのである。陛下はその様な経験をし、更に幼少期から政治に関わっている。そこいらの政治家が勝てるはずがなかった。その様な問答がこの書籍には収録されているが、短く3ページが最大である。細かいエピソードが20話ほど含まれている。其の中で発言された陛下の発言を読み取ると、非常に深く、為政者としての力量が感じ取れる。
非常に面白い本で、短時間ですらすらと笑いの中読み終える。失礼ながら、最近1ヶ月読んだ本の中では一番笑わせてもらった。