Vフォー・ヴェンデッタ

 本命
 実はこちらが今回の総合文化振興計画の本命である。V フォー・ヴェンデッタ。本建国記録を実に熱心に読まれている方はああ、この人が大阪で一度見た映画で、論評評価は後日と書いておいて何週間も経ったのに全く書いていない映画のことね。と理解する。恐らくそんなことを思うのは、私自身だけである。
 今回2回目の視聴、いままで映画館に足を運んで2回見た映画で思い出す作品は、イノセンスである。
 
 初鑑賞時の事前知識

  1. へんな仮面野郎が大量に出てくる。
  2. テレビCMを5秒だけ見た。
  3. どういう作品か全く分らない。

 初鑑賞時の背景
 もう一度初めてこの映画を見た時の事を説明すると、大阪を案内してくれた友人が暇だから時間つぶしの為に映画を見ようと言ったため、映画を見ることになった。友人はクレヨンしんちゃんが見たかったようだし、私自身も見たかった。だが、既に公開時間が終わっており、見ることが出来なかった。だが、あと2,3時間は時間つぶしがしたいという状況であった。
 そこで、何でもいいから映画を見ることになった。そこで初鑑賞時の事前知識の1つ、仮面野郎が大量に出てくる事とポスターの暗黒な雰囲気の2点から独断的に判断してV フォー・ヴェンデッタを鑑賞することを決定したのである。

 公式革命の物語
 V フォー・ヴェンデッタ。それは何か。全体主義国家となり果てた英国を武力革命で崩壊させ、現代のような自由世界を取り戻す物語である。革命家”V”が、政府の要人を次々と暗殺する。そして、国民に再び自由を取り戻すという力を取り戻させる。
 なんと素晴らしい物語であろうか。自由を守る革命家の物語。この映画が語ることこそ、我々国民が忘れてはならない精神なのである。政府は国民のために存在し、国民は政府のために存在しないのである。国民こそが主体に成らなければならないことを訴える。自由万歳、自由主義万歳。
 
 V フォー・ヴェンデッタの世界(筆者想像+作品説明からの理解) 
1985年:ある女優が生まれる。
2000年前後:ある女優が同性愛を宣言し勘当される。
2015年:ある女優が主演した映画が公開される。女優は女性と結婚する。
2016年(前後6ヶ月):第三次世界大戦悪化。英国国防次官サドラー英国地下鉄封鎖を提案
2016年後半:サドラーとクリーディーは結託し、英国国民精神統一秘密工作を検討
2016年以後:英国でウィルステロ発生(学校、地下鉄、浄水場汚染)児童100人以上死亡
2017年以後ウィルステロ数日後:英国でテロの恐怖から暴動発生、8万人死亡
同時期:イヴィー両親、サドラーの危険性を訴え、殺害される。
2018年以後:英国、終身議長サドラーを長とする全体主義国家へ
2019年頃:英国、アメリカ合衆国を植民地化
2036年近辺11月5日:”V”英国最高中央裁判所爆破、テレビジャック
2036年近辺11月5日から数日後:「ロンドンの声」プロセロ司令官暗殺
2036年近辺プロセロ司令官死亡数日後:リリマン主教暗殺
2036年近辺リリマン主教検死日:リリマン主教検死官毒殺(名前失念)
2036年近辺検死官毒殺数日後:サドラー議長批判コメディ放送、担当ディレクター処刑
2036年近辺批判コメディ放送後:”V”の仮面、ガイ・フォースを模した仮面が、英国各世帯に
2037年近辺11月4日(革命前夜):サドラー死亡、公安局長クリーディー死亡、”V”死亡
2037年近辺11月5日:英国国会議事堂爆破、革命成功

 本編について
 本映画は、カルト的な側面や政治的側面が非常に強い。革命家”V”の発言と革命家”V”の目指す目的から起因するものである。本映画が主張する内容から全国民が視聴すべきと考える。
 ”V”とイヴィーが出会った時に、少々長い台詞がある。この点が初視聴者にとって堪えるものかもしれないが、ここを超えてこの作品が始まるのである。この部分で”V”のマスクオブゾロ的な側面を発見出来る人もいるかも知れない。出会い、裁判所爆破と流れが急であるが、”V”のテレビジャックを経て本作の背景と雰囲気が視聴者の中に入ってくる。
 この革命の始まりは11月5日。21世紀の11月5日も革命の始まりであるが、元は、1906年の英国国会議事堂爆破未遂事件(実在)への執念を感じさせる部分である。それは、革命成就が次の年の11月5日と”V”が述べる点からも明らかだ。
 序盤は、英国が全体主義国家になった理由を曖昧に説明しながら、”V”が英国政府主要人物を暗殺してゆく。ここで”V”が実験によって誕生した超人的存在であることが分ってくるが、序盤を理解した人間にはある程度すんなりと理解できるはずだ。
 ”V”の活動により、恐怖によって闘うことを忘れた国民に次第に自由への意識が目覚めてくる。だが、以前英国の公安組織は強固である。議長サドラーを批判したテレビディレクターは即日殺害される。そして、イヴィーも逮捕収容される。
 イヴィーは拷問で弱まってくるが、ある隠された手紙を発見し、恐怖を克服する。1985年生まれということが妙に親近感を沸かせた。収容所は”V”が作った恐怖克服の演技だった。少々酷なシーンだと思うが、恐怖を乗り越えたイヴィーとある女優の手紙がそれに対する嫌悪を抑制する。
 英国国民の恐怖への恐怖は徐々に消えさり、強圧的な政府への批判が徐々に高まる。そして、次の11月5日まで後1日となった。”V”は、クリーディを抱き込み、議長拉致に成功。殺害する。残す敵はクリーディだけとなる。ここで、マトリックスのスタッフが作成したという映画だということが皆に明らかになる。マトリックスから始まった撮影方法を使い、クリーディを倒すシーンが描かれる。だが、マトリックスのようなスーパーアクションではない。ナイフと銃の古典的な戦いである。この点が良い。無駄にスーパーアクションをすれば、本作の魅力は減少していただろう。
 ”V”は致命傷を負い、議事堂爆破のスイッチを”恐怖”(政府への恐怖、イヴィーの持っていたトラウマの恐怖)を乗り越えた新世代イヴィーに託す。イヴィーは爆破スイッチを作動させ、議事堂は爆破される。この時、英国市民の多数が仮面をかぶって登場する。CMのシーンはここだったようだ。
 ”V”は、国民の忘れていた自由に対する闘争を思い出させる象徴だった。11月5日”V”は象徴となり、国民の力で革命は成功する。

 本編から読み取ったもの

  1. 国民が政府を恐れるのではなく、政府が国民を恐れなければならないことの再認識
  2. 自由維持の難しさ
  3. 世論操作について

 本映画は、我々が自由な国家を維持するために多くに人が視聴すべきであろう。大阪、金沢での鑑賞どちらも余り人が入っておらず、残念に思った。

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