Call of Duty 4:Modern Warfare シングルプレイレビュー


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 概要
 11月はFPSerにとって試練の月である。発売されるFPSソフトは、今思い浮かぶタイトルだけでも、Call of Duty4、Crysis、SoF:Payback、F.E.A.R.XP2(Perseus Mandate)、GoW*2、UT3など名前を見るだけでその道の通には、判るソフトである。
 Call of Dutyシリーズの最新作として発売されたCall of Duty4は、シリーズ初の現代戦に移行した。従来のシリーズは非常に優れたゲームとして認知され、11月の発売ラッシュの中で最も期待できるソフトの1つであった。
 現代戦への移行を含め、Call of Duty4は11月ラッシュソフトのうち買いのゲームである。海外レビューや某匿名巨大掲示板ではプレイ時間が短いという意見やプレイヤーが状況を理解する速度を無視して、シームレスに戦場へ突入するシステムは、S.T.A.L.K.E.R.の舞台であるチェルノブイリを除いて成功した。*3
 本論では、主にプレイ評価の固まったシングルプレイの評価を行い、Call of Duty 4:Modern Warfareの魅力を紹介する。マルチプレイは現在継続中である。
 

 1.はじめに
 Call of Duty(以下「CoD」という。)シリーズは、第二次世界大戦を舞台にしたFPSゲームであった。CoD1の発売は、当時最も主力の第二次世界大戦タイトルであったMedal of honr(以下「MOH」という。)のユーザーをCoDに寄せ付けることに成功し、続編の低迷など追加タイトルの投入が送れていたMOHをCoD2の発売と同時に破り、新しい第二次世界大戦FPSタイトルとしての地位を不動のものとした。
 この商業的成功は、XBOXへの進出を進め、実際は別会社が制作したものであれ、XBOX360でCoD3の発売となった。これは、筆者を含めCoDの魅力を知ったユーザーは大きな失望であった。その後、開発元から今後偶数はPC向け、奇数はコンソール向けなどという話も出現した。*4
 この時期(2005年〜2006年)は、Battle Field2がマルチプレイとしての定番となり、新しく現代戦が注目を得るようになった。確かにそれまでのFPSは、第二次世界大戦や宇宙的、未来的なものが多く、個人的にも飽き気味であった。BF2は批判の声もあるが、「坂田晴美じゃん」、「コンボラ」、「芋」など新しいFPS界の基本用語を作り上げた。そして、前の2つは中東言語における空耳から発生したものであり、中東を舞台にするゲームは、少なからずおもしろい部分があるという認識が筆者の中で形成されつつあった。また、潜在的にこの手のゲームをプレイする軍事層はRPG-7の認知度を強力に押し上げた映画ブラックホークダウンにより、中東や現代戦といったキーワードに魅力を持っていた。
 CoD4はそのような情勢を理解してか、そもそも第二次世界大戦をネタにした舞台に限界を感じたのか*5、現代戦への移行を表明した。筆者は比較的情報収集に励む人間であるが、11月のソフトラッシュにおいて現代戦を舞台とするものは思いの外多い。まず、CoD4がある。ほかには、SoF:Payback、BlackSite:Area51である。Crysisも現代に近いがこれは、近未来的である。少なくとも、今回のラッシュでは1作も第二次世界大戦を舞台としたゲームはない。今年1年で振り返っても、記憶にあるのは、シリーズ史上の駄作MOA:AireBorneだけである。実はほかにもこの1年、11月のラッシュにおけるFPSゲームの共通点があるのだが、それは別に纏めたい。
 さて、本論では、第1にストーリーから見る評価を行い、第2にCall of Duty4のS.T.A.L.K.E.R.スタイルと定義するS.T.A.L.K.R.のような退廃的かつ旧ソ連的な要素から構成される美術的、思想的な現象を見る。第3にチートやアーケードモードといった新しいゲームスタイルについて見る。第5に音楽など全般的な視点から、最後に上記を踏まえたまとめを行う構成としている。
 

 2.CoD4のストーリー批評
 本作は、数えると5人のプレイヤーを操ることになる。これはなかなか前例のない多さである。明示的に表現されているのは2名であり、残りの3名は詳しくストーリーを追わないと判らない。もちろん、判りやすい2名は、英特殊部隊SASのJohn "Soap" MacTavishと米海兵隊USMCのPaul Jacksonである。わかりにくい、暗黙的な変更は、15年前の狙撃(S.T.A.L.K.E.R.的な部分)とハイジャック時、AC-130スベクターガンシップ操作時である。S.T.A.L.E.R.時は、John "Soap" MacTavishの上司Price大尉の15年前の姿である。ハイジャック時は、Price大尉の後を継いだJohn "Soap" MacTavishの新しい部下がプレイヤーの操るキャラクターとなる。AC-130時は射撃手(名称不明)である。多くの人は理解していると思うが、あのとき援護している友軍こそが、先ほどまで操作していたSASのJohn "Soap" MacTavishらの部隊である。
 Call of Dutyスレ テンプレまとめ CoD4 シングルプレイ Tipsの情報を元に操作するキャラクターを纏めると次の表になる。

名前 職務 階級 備考
John "Soap" MacTavish 第22SAS連隊所属 軍曹 SAS側の操作キャラクター
Price 第22SAS連隊長 大尉 15年前(狙撃ステージ)の操作キャラクター(当時少尉)
Paul Jackson 海兵隊武装偵察部隊所属 軍曹 USMC側の操作キャラクター
名称未確認 AC-130スベクター射撃手 - AC-130の操作キャラクター
名称未確認 恐らく第22SAS連隊所属 恐らく軍曹 ハイジャック時の操作キャラクター

 CoD4は、人気ドラマシリーズ「24」を意識した構成*6である。未見なので比較できないのだが、確かにドラマ的な展開が随所に用意され、ステージも一番盛り上がる部分を抽出した構成になっている。確かにここのステージプレイ時間も短いが、どうもこの点が「短い」と感じさせる要因と思われる。5人のプレイヤーを操ることからもそれは判るだろう。SAS、USMC共に激しい戦闘部分が時間的が描かれており、双方の睡眠時間や移動時間は別の戦場で戦うことになっている。
 個人的に、11月ラッシュの作品では最も優れたゲームという評価を周囲に行っている。プレイしたゲームは、本学特有の秋休み(1週間)と予定していた新潟訪問計画予算5万円が無くなったことで、現時点(11月19日)でCrysis(Easyでクリア)、GoW(5分で断念)、SoF:Payback(2面で放棄の気配)、F.E.A.R.XP2(チートを駆使してクリア)、TimeShift(空挺突入後辺り)、BlackSite:Area51(ネバダ州ステージ始まりまで)と軒並み発売されたゲームをプレイしている。この中でシングルプレイの1位はCoD4であると確信している。
 シングルプレイのストーリーに限定すれば、緊張感溢れるタンカーミッションから始まり、SASの救出ミッションとUSMCのKahled Al-Asad捜索作戦に繋がる。これらは共に素晴らしい出来である。SASは全般的にスニークミッション的であり、USMCは大規模兵力を投入した爽快な射撃が楽しめる。これらに飽きが生じ始めたときにAC-130スベクターガンシップミッション、そしてCoD4のなかで最も狂信的なS.T.A.L.K.E.R.ステージ、15年前のImran Zakhaev暗殺ミッションはドラマとして、観客たるプレイヤーに飽きを生じさせない計算された流れである。 
 その後、核爆発、サイロ基地強襲、サイロ制圧とテンポ良く進む。その後の逃亡劇や後日談も優れた内容であり、後日にわだかまりを残さない綺麗な片付け方をしている。ただし、CoDシリーズの伝統的キャラクターPrice大尉の扱いは、CoDシリーズを好むものとして残念な部分がある。本作に冠しては、現時点でプレイしたゲームの中で、1流、2琉、3流、地雷などゲームの質が激しいFPSの11月タイトルで数少ないCrysis、F.E.A.R.XP2と並ぶ1流タイトルであり、その中で最も起承転結がよく行われたゲームである。 
 更に、起承転結の間に行われるゲームのロード時間も、うまく使っている。状況説明やニュース放送などを流し、そのバックグラウンドでレンダリング作業を行い、プレイヤーの休む間は全くない。ステージプレイ中もレンダリングによるプレイ中断は無い。この点、Half-Life2で採用されているSourceエンジンにおけるロード時間はCoD4などのゲームと比較すると劣り、ロード時間は苦痛以外の何者でもなく、最も改善の望まれる部分である。
 CoDシリーズの影響か、CoDは安心して買えるタイトルと言われるが、全く持ってその通りである。これほど安心して楽しめるタイトルは少ない。
 

 2.S.T.A.K.E.R.的な要素について   
 S.T.A.K.E.R.*7とは、カルト的狂信的なFPSゲームである。確かにS.T.A.K.E.R.は技術的な目劣りがあったが、MMORPG的なシステムや一部のロシア語が狂信者に受け、またFPSゲーム的には正統な線を走っているゲームであった。なぜ、このゲームが今日もこれだけの影響を与えているかについて分析することは難しいが、S.T.A.K.E.R.は2007年のFPSゲームの代名詞の1つとして語られ続けてゆくことは確実であり、今日のFPSerはプレイすることが義務づけられているゲームといえる。
 さて、CoD4と一体何の関係があるのか。CoD4は15年前の出来事(ゲームでは現在は2020年であり、15年前は1995年である)としてチェルノブイリでの出来事が語られる。これがあまりにS.T.A.K.E.R.的であったのだ。一体S.T.A.K.E.R.的とは何なのか定義が難しいのであるが、退廃的、放射能的、Zone的など筆者も定義しにくい用語で外見を語ることは出来る。だが、一見は百聞に如かずと言われるように、実際にプレイしてこれが、S.T.A.K.E.R.的なものかと感じ取ってもらいたい。
 さて、とりわけ、S.T.A.L.K.E.R.ステージはあまりの衝撃的であった。本建国記録に寄せられたコメントは正鵠を得た表現といえる。これ以上の表現は無い。

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
『俺はCoD4をプレイしていたと
思ったらいつの間にかS.T.A.L.K.E.Rをプレイしていた』

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
おれも何をされたのかわからなかった…

 プレイ中、突如15年前として表示され、舞台はチェルノブイリに移る。この唐突さはプレイしたものしかわからないが、あり得ない流れであった。そして、チェルノブイリ原発や荒廃した風景からプレイヤーたる筆者は認めるしかなかった。
『S.T.A.K.E.R.・・・』

 
 
 
 
 
 
 あまりに衝撃の大きかったステージ。唐突にチェルノブイリが現れたときは何も考えられなかった。退廃的な音楽がまた極めつけであった・・・。

 3.チートモードとアーケードモード
 筆者は兼ねてからFPSゲームには、スロモー(バレットタイム)とフレームレート測定ベンチマークモードを付けるべきと主張している。CoD4では、スロモーの装備が叶い、2週目のプレイを大いに盛り上げた。
 CoD4は、どの難易度であっても1度シングルプレイをクリアすると、チートモードとアーケードモードが選択できるようになる。チートモードは、シングルプレイ中にオプションを開き、Cheatの項目から選択する。このチートはゲーム中に落ちているノートパソコンを回収した数に応じて増える。筆者は12個まで見つけたが面倒なので、cfgファイルを書き換えて対応した。チートの内容は幾つかあるが、個人的に多用するのは、やはりスロモーであるが、タイヤになるものもおもしろい。
 チートと同時に増えるのがアーケードモードである。アーケードといえば、ゲームセンターなどに置かれている大型ゲーム機を指すと思う。まさにそのとおりで、限られた残り人数と殺傷人数とで算出されるポイントを競うモードである。これがなかなかおもしろい。連続殺傷を行ったり、ヘッドショットを決めるとポイントが2倍、3倍となり、8倍となったときはよくわからないフランクな音楽が流れる。
 
 このようなメッセージで知らせてくれる。

 
 
 爆発などはポイントが大きい。

 
 タイヤとPrice大尉の形而上的な一枚。

 4.射撃感や音響など
 文字の量が減ってきているが、執筆を初めて3時間経過していることと、それに伴い室温が低下し、指が動きにくくなっていることが大きい。
 射撃感は、DEMO時から一部判っていたことだが、軽い感じがあるが、ほかの11月ラッシュゲームは全て堅すぎて、CoD4の感覚が逆に最も良い。射撃音についてもDEMOから不満があったが、聞いている内に慣れた。
 さて、音楽だが、さすがドラマティックな演出を心がけただけはある。既に紹介した11月発売ラッシュソフトとは一線を画す完成度がある。これらの音楽は筆者の環境音楽リストに即時採用され、圧縮されたmp3を直ちに抽出した。
 
 5.まとめ
 総合的に見て、CoD4は間違いなく「買い」のソフトである。プレイヤーは短いという不満を持つかもしれないが、アーケードモードやチートモードによるプレイは、少なくとも3回のリプレイを生む。また、多くのFPSerにとってS.T.A.L.K.E.R.ステージは最も記憶に残る部分になるはずである。
 短さが確かに気になるが、それ以外は優秀であり、射撃感、音響効果などはトップクラスであろう。音響関係で気になるのは、唯一射撃音を残すだけである。
 個人的に、Crysis以上にマップエディタの欲しいゲームである。そして、Crysisよりも早く批評の公開したかったゲームであった。

 スクリーンショット
 
 ブラックホーク備え付け推定20mm程度の機関砲
 
 
 SAS訓練での1枚

 
 Nikolai氏の救出作戦ステージのレンダリング兼作戦説明(ブリーフィング)

 
 映画ブラックホークダウンとしか思えない一枚

 
 スニークミッション、さすがに気づくだろと思う。色彩がS.T.A.L.K.E.R.

 
 
 
 ロード時のこれらの演出は、個人的にかなり気に入っている。設定マニア的に。
 
 
 S.T.A.L.K.E.R.パートと同じく「飽き」を解消させてくれたAC-130によるミッション風景



 追記2008年1月5日、チート(cheat)について 
http://d.hatena.ne.jp/blackeye2025/20071125/1195948904
 チートについては上記参照。
 追記終わり。

*1:http://www.4gamer.net/games/039/G003948/screenshot_3.jpgより

*2:FPSではないが有名タイトルとして挙げた。

*3:このときもある意味では成功している。初めてプレイする人は、なぜ急にS.T.A.L.K.E.R.の舞台に移ったのか、それまでのステージとの差異に驚きを禁じ得ないからだ。

*4:http://www.4gamer.net/news/history/2007.04/20070423170026detail.html

*5:MOH:AirBoneはネタの限界に明らかな空想を投入し、バベルの塔を作り出したが、伝記と同様に、ソフトも塔も崩れ去った。過去の威光を全く感じ取ることが出来ない明らかに失敗したゲームである。地雷。

*6:http://www.360gameszone.com/?p=608

*7:ストーカーと読むが、スタルカーという読み方もある。後者は明らかな間違いであるのだが、S.T.A.K.E.R.における批判的、嘲笑的、背景的、あるいは雰囲気的になどよくわからない場合に使われる。ストーカーを使うべきだが、スタルカーももはや文化として定着している。

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