バスに乗り遅れるな
中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)をめぐり、財務省や外務省含めた日本政府の対応の遅さへの批判から、日本もバスの乗り遅れるなという論調がある。*1
なるほど。さて、前世紀にも、「バスに乗り遅れるな」と世論が誘導されたことがあった。
日本の知識人や支配層、軍部(陸軍)などに大きな影響を与え、特に時の首相近衛文麿は、これを世界的潮流と認識し、やがて世界は「ソ連」、「ドイツ・イタリア」、「アメリカ」、「日本」の四大勢力により分割支配されるだろうと予想した。そのため日本では、時流に取り残されることを恐れ、また新体制に諸問題の解決を期待する運動が高まり、「バスに乗り遅れるな」というスローガンが広く使われるようになった。このことが日独伊三国同盟への道を急速に開き、1940年9月27日ベルリンにおいて条約が正式に調印された。[1]
[1] 遠山茂樹・今井清一・藤原彰『昭和史』[新版]岩波書店 〈岩波新書355〉1959年 180-181ページ
バスに乗り遅れていれば、WWIIの始まりの過ちとなった、日独伊三国同盟は締結されなかった。
バスに乗り遅れたほうが、安全だ。
2015.4.15 5:21追記
なぜTPPには乗り遅れるなといわないのか???
*1:出典:「『AIIB不参加に「焦る必要ない」と指摘 日本と米が必要とされる時が来る?』,http://news.livedoor.com/article/detail/9998870/,2015年4月15日アクセス.」
*2:出典:『新体制運動』,http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E4%BD%93%E5%88%B6%E9%81%8B%E5%8B%95,2015年4月15日アクセス.