inno3D GeForce 8800GT笊化改造記録

 概要
 いつ頃から始まったことかは知らないが、グラフィックカードの冷却機構(ファン)を交換する改造が自作の世界では行われている。主にZALMAN製のファンに換装することから、笊化(ざるか)と呼ばれる行為である。
 GeForce 8800GTは、GeForce8800シリーズの中で唯一1スロットのカードである。低価格化や占有スロットの削減から行われた措置であると考えるが、1スロット化により冷却性能が大きく犠牲となった。ファンによる騒音も指摘されているが、実際使用してみて爆音が発生するのは電源を投入した時の5秒間程度であって、windows起動後は目立つ騒音はない。(ドライバーによる自動ファン調整の場合)ファンの運転を40%以上にした場合は、冷却性能が向上するが、爆音が発生する。少なくとも、8800GTは静かなグラフィックカードではあった。
 それでも、ゲーム時に80度を超える温度になるのは問題であり、発売直後から有志による笊化がレポートされた。筆者はそれらの笊化の基礎情報を元に、静かに燃える8800GTの笊化を敢行した。
 
 静かに燃えるGeForce 8800GT


 笊化に使ったパーツ

  • ZALMAN社製VF900-Cu
  • ThermalTake BGA 1 Memory Heatsink Al (CL-C0026)

 ZALMAN社製の換装用ファンは当然必須であるが、下記のヒートシンクも必須である。8800GTのリファレンスクーラーは、GPUチップとVRAM、VRM(Voltage Regulator Module、電圧調節チップ)の3つを同時に冷却しているが、ZALMAN社製VF900-Cuに付属するものは、GPUチップとVRAMの2つの冷却装備である。そこで、VRMを冷やすために別にヒートシンクを必ず購入する必要ある。某匿名巨大掲示板では、VRMを軽視して8800GTを破損した報告もある。
 筆者が購入したThermalTake BGA 1 Memory Heatsink Al (CL-C0026)は、今回の笊化に使用することが出来たが、4箇所のVRMのうち1つだけ大きさが合わず、半分に割るという加工が必要となった。それには工具(鉄のこ)などが必須なので、その点は注意が必要である。それを考慮して、別のヒートシンクを買うのも良いと思う。


 笊化作業についての注意
 本作業は既に実例のある笊化レポートを元に行っているが、筆者の記録を含めて自己責任の下に行われている行為である。本レポートの内容や参考文献先の通りに行ったとしても、出来ない可能性があり、また最悪の場合破損する恐れがある。その場合正規の保証は受けられないので、購入価格3万5千円程度を捨てる覚悟は持っていて欲しい。


 笊化作業1、リファレンスクーラーの取り外し
 
 まず初めに既存のクーラーを外す必要がある。背面にある8個程度のねじをプラスドライバーで外す。それほど難しい作業ではないが、この手順の時点でも保証は受けられなくなる。
 リファレンスクーラーによるグリスや熱伝導体がチップやICに残っている場合、綺麗に取り除くこと。筆者はティッシュペーパーで取り除いた。表面が綺麗でないと、次に行うヒートシンクの粘着力が低下する。


 笊化作業2、VRAMにヒートシンクをつける
 ZALMAN社製VF900-Cuには、ファンとVRAM用のヒートシンクが付属している。ヒートシンクは、両面テープで固定するのだが、粘着力に不安がある人は強力なテープを用意した方がよいだろう。かくいう筆者も運用中(この記事を書いているときに)1個外れた。
 
 


 笊化作業3、VRM(電圧調整チップ)にヒートシンクをつける
 既に述べたが、ZALMAN社製VF900-CuにはファンとVRAM用のヒートシンクしか付属していない。必ず別に購入して付けなければならない。筆者が購入したヒートシンクは、大きすぎて1つだけ適切に付けることが出来なかった。そこで、1つのヒートシンクを半分に切断して切り抜けた。
 無理矢理な方法なので、鉄のこを使うことやそもそも適合するヒートシンクを買うことを経験者として推奨する。
  
 
 VRMの拡大写真

 
 1つだけ衝突するヒートシンク

 
 半分に無理矢理割った。かなり堅く無理矢理とっても有る程度の工具がないと加工は難しい。

 
 半分に割ったことで、適切にヒートシンクを当てることが出来た。

 
 ヒートシンクの配置全体図


 笊化作業4、ファンの設置
 残る作業は、ZALMAN社製VF900-Cuファンの搭載である。説明書を読んで、セットする。注意すべき点は、ゴムリングとプラスティックのビスを挟むことである。これを忘れるとショートする。
 また、ファンを取り付けるねじを締める際には、均等に締める必要がある。4つのねじを1ずつ順番にゆっくりと回してゆくこと。GPUとの接触不良などでコアかけが起こるそうだ。
 
 ねじは一番外側を使う。
 
 慎重に均等に締めよ。

 
 笊化作業5、作業完了とPCへの搭載
 これで換装作業は終了した。新しいZALMAN社製VF900-Cuファンの電源は、マザーボードの余っているファン電源コネクタに指すと良い。
 PCへの搭載時に、ヒートシンクを線などとぶつけて外れていないかを確認して、電源を投入して欲しい。その後成功しれいれば、温度が20度から30度下がった世界が体験できる。失敗している場合は、認識しない、エラーがでるのだろう。
 
 完成写真
 
 再就役したGeForce 8800GT笊化改造版


 GeForce 8800GTベンチマークの前提たる筆者のマシン環境
CPU:Intel Core 2 Duo E6600(定格)
CPUクーラー:峰COOLER SCMN-1000
M/B:GIGABYTE GA-P35-DS3R
MM:DDR2-800 2GB
GPU:ino3D GeForce 8800GT 512MB DDR3 PCI-E(笊化)
光学Drive:RICOH DVD+RW MP5308D
HDD:Maxtor 6Y160M0(システム、160GB)、Seagete ST3250824AS(250GB)
拡張スロット:Sound Blaster X-Fi XtremeGamerSB-XFI-XG,MTV2005
キーボード:Happy Hacking Keyboard Lite 2 PD-KB200W/U(英語キーボード)
マウス:Logicool G5 レーザーマウス G-5T
スピーカー:ONKYO 77monitor GX-77M,audio-technica ATH-A500
電源:CoRE-500-2006aut
OS:Windows XP pro
ForceWare:167.26(製品についていたCDよりインストール)


 温度記録の統一条件 
 室温25度。
 PCケースカバーを開けた状態で運用している。
 笊化前のファン設定はドライバによる自動設定。
 笊化後のファン設定は、付属ファンコントローラーの中設定。
 笊化前の温度は、ATItoolによる測定のうち任意の値である。
 笊化後の温度は、ATItoolによる測定のうち最高の値である。


ベンチマークと温度

状態、ゲーム名 笊化前温度 笊化後温度
起動後のアイドル時 61度で安定 42度で安定
ATItool0.26による負荷(俗語:タワシによるシバキ) 1分後で68度、10分後72度 1分後で46度、10分後46度
3Dmark06 83度 51度
3Dmark05 77度 46度
CrysisDEMO(HIGH、AAx2,1024*768) 86度 62度
CoD4DEMO:(デモで可能な最高設定,AAx4,1024*768) 80度 52度
BF2142(ALLHIGH,1152*864) 84度 52度
Half-Life 2: Lost Coast 65度 45度
Half-Life 2: EP2(ALLHIGH) 79度 47度
BioShock(ALLHIGH,1024*768) 83度 50度
F.E.A.R.(ALLHIGH,1024*768) 74度 44度
LOSTPLANET Snow(ALLHIGH,1024*768) 86度 58度
LOSTPLANET Cave(ALLHIGH,1024*768) 84度 54度
fr-041_debris(Mulitx8,TetureUltra1024*768,4:3)*1 80度 42度
S.T.A.L.K.E.R.(ALLHIGH,1024*768) 82度 54度
Campany of Heroes DEMO(最高設定,1024*768) 82度 52度


 まとめ
 笊化によりGeForce 8800GTは実質4万円台のグラフィックボードとなってしまった。だが、笊化による温度低下(20度〜30度の低下)そして、同時に騒音低下は非常に大きなメリットであると言える。筆者としては、GeForce 8800GT購入者は自己責任ながら、万人が笊化すべきと主張したい。


 参考文献
GeForce8800GTにVF900-Cuを取り付けて常用してみたい。http://dvd-r.jpn.org/GGW-H20N/index4.html、初めて包括的なGeForce 8800GTの笊化レポートを行った聖典とも言うべきサイト。ベンチマークなど参考になる情報が多い。
わたしのブログ - 楽天ブログ(Blog)http://plaza.rakuten.co.jp/88gtduorb/、同じinno3D GeForce 8800GTの笊化レポート。割る必要のないVRMヒートシンクの紹介もある。

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