本日の審議における重大争点を振り返る 大帝国大統領と帝国内閣総理大臣の並存

大帝国上級行政制度と現代世界の上級行政制度
 現在の大帝国の行政制度では、行政権を所管する存在として大帝国大統領と帝国内閣総理大臣が存在する。大帝国の歴史から見て最初に導入されたのは議院内閣制度であり、帝国内閣総理大臣である。これが大帝国で初めて行われた制度的民主化といえ、過去の組織図等を参照すると2000年にその概念が生まれている。その後、大帝国の体制理念として直接民主制によって選出された代表に現行体制でいう平時の行政権委任を実施すべく大帝国大統領の概念が発生した。
 これにより大帝国は、2人の行政権監督者が存在する状態になった。現代世界のおいて、この体制を採用している先進民主主義国家の代表例はフランス共和国である。学術的には半大統領制若しくは疑似大統領制度と呼称される制度である。また、その他の例としてドイツ連邦共和国大韓民国なども同様の政治体制を保有する。実にアメリカ合衆国が実践しているような厳粛な三権分立を実施している国家は余が入手している資料の範囲ではアメリカを除いて存在しないものでこちらの制度の方が世界的に見て珍しい制度である。
 ここで、大帝国の制度も現代世界の機構を導入したものと思うだろう。だが、大帝国は上記の国家と異なり、君主が存在する。即ち絶対永久皇帝である。先に事例を紹介した国家は、すべて共和制国家であり、世襲によって国家元首が決定されることはない。(大帝国も世襲と断定されてはいないが、現行制度では安定期までは世襲で大帝国建国思想を維持する事になっている。)
 立憲君主が存在する国家、連合王国や日本では大統領という選挙で選出される国家元首は存在しない。存在するのは、内閣総理大臣を長とする内閣だけである。連合王国や日本においける国家元首世襲によって地位が保たれてる女王や天皇(日本では天皇国家元首とは明記してはいないが、余は国家元首であると認識している。)である。
 大帝国は、立憲君主保有しながら、大統領を保有し、果ては内閣総理大臣をも保有するのである。この体制は、冒頭に記載した背景の元制度化されたものである。特に余の知識不足からこのような混乱が生じ、その他制度と同様に改正の必要性を認識しながら、重点審議を避けてきた問題である。だが、この状況で発生している問題は、国家元首たる絶対永久皇帝と直接民主制で選出される大帝国大統領、議院内閣制の下議会に責任を負う帝国内閣総理大臣の行政上の権限をどのように分割するかというものだけである。
 本日の審議では、このような背景にある問題が大きく爆発した。06年春審議3日目の審議でまず各権力者が行政権を発動する土壌たる行政区分の整理を実施した。絶対永久皇帝は平時以外の絶対大権の発動を除いて行政権に干渉することはなく、まず絶対永久皇帝の行政上の権力における差別化はほぼ不要であるという結論に至った。また、行政権の発動範囲を規定するために、昨年定義したものの委員会内で有名無実化されていた行政区分についてを再々定義した。これは既に公開している中央政府連邦政府)、地方政府、自治政府という3本柱の行政区分である。
 本国規制制度発案
 旧来大帝国大統領は、大まかな認識として選挙権保有する全帝国(中央政府、地方政府、自治政府の全ての行政区分を合わせた範囲)において行政権を発動できるというものがあった。対して、帝国内閣総理大臣は、議会議員からの選出であり、間接民主制となる。民主度の高さでは大統領が帝国内閣総理大臣を上回るのである。帝国内閣総理大臣は、本国(中央政府と地方政府)に対して行政権を発動できる地位にあるという考えがあった。 本日の会議冒頭でこの不安定な事態を打破すべく改善についての集中審議を上記のような思想背景を説明して実施した結果、大帝国大統領は、全帝国に行政権を発動できる地位し、帝国内閣総理大臣は、本国に行政権発動を限定するという案が提案された。(本国規制制度)これは非常に優れた分割であり、大帝国の保有する行政上の2者問題を一挙に解決するかに見えた。
 本国規制は、帝国内閣総理大臣の議会立法を行政権の発動範囲と同様の本国に限定することが出来、立法数が多い本国を対象とした法案は、帝国内閣が主体的に提案できるという優れた機構を論理的に裏付けることが出来たのである。本国を対象とした立法数が多いと予想される根拠は、自治政府が未開の原始人から高度に発達した本国と同様の文明レベルの全てを包括できる行政体制だからである。自治政府に関する説明をもう少し行うと、本国が派遣する領主を国家反逆の監視及び本国との連絡官として設置することで、下部の体制は、例え専制であろう、貴族制であろう、民主制であろうとも本国は関知しない制度に成っているからである。当然民主制に移行し、大帝国の地方政府として昇格することが望ましいが、無限の大宇宙における臨機応変な行政機構を検討した結果現在ではこの3本柱が最も優れる制度であると委員会決定されている。
 本国規制による矛盾
 というように、本国規制は、非常に素晴らしい制度であった。大帝国大統領ついては、全帝国における行政行使権限と必要に応じて教書によって帝国議会に帝国内閣と別に本国に限定した法案の作成を要請できるという認識に委員会は立っていた。そして、大帝国の正規制度として取り入れられる予定であった。
 だが、審議を継続してゆく中、大きな問題が発生した。帝国内閣総理大臣及び内閣における行政権さらには、立法権を本国規制により本国という範囲のみ行使可能としたため、従来から存在していた大帝国中央行政省庁の全帝国を対象とした権力発動が本国に制限される事態に成ってしまったのである。大帝国中央行政省庁は、2005年夏期集中審議期間に旧行政省庁を根本的に改革し再編成したものであった。(no006NCD 2005年夏期集中審議結果についてから)この時当然、大帝国大統領及び帝国内閣総理大臣の行政権力は本国規制制度などで区別化されておらず、この05年夏審議でまず行政権力に関する規定を行ってから、大帝国中央行政省庁の改革に走るのが道理だったのである。当時の資料を振り返っても、当時この行政制度が問題であるという表現はされていないのである。
 ここで提案された解決策は、

  1. 大統領を廃止し、現代世界に習い、君主と議院内閣制で行政体制を整える。
  2. 直接民主制を重視し、大帝国大統領を存続。帝国内閣総理大臣を廃止。厳粛な三権分立を達成する。
  3. 双方存続させながら、新制度を委員会で考案する。

の3つに絞られた。

混迷する大帝国上級行政制度審議
 委員会の方針としては最後の方針を取り入れた。そして、次の様な制度を考案したが、同時に問題点も発生した。

  1. 大帝国中央行政省庁の権限を全帝国にすべく内閣総理大臣以外の閣僚を大統領直属にし、本国規制から除外する。>内閣として、議会に責任を持てるかどうかに疑問。
  2. 大帝国大統領直属機関、大統領府に全帝国に関する省庁の上級機関、〜省委員会などの設置を行い、本国規制から除外する。>実務は各大帝国中央行政省庁が実施するため、制度が複雑。
  3. 大帝国中央行政省庁を大帝国大統領及び帝国内閣総理大臣の共用機関にする。>閣僚の指名・任命などが複雑。
  4. フランスの半大統領制的な構造を持たせる。>知識不足で詳細不明。

 主にこのような改善策が考案された。しかしながら、委員会審議は本国規制制度発案の時点でこの問題に2時間投入するという従来の審議と比べても多く、大帝国中央行政省庁制度とのミスマッチが発見され、解決策の議論の実施で、2時間投入し、総時間4時間審議を行っていた。
審議凍結を宣言
 ここで、委員長たる余が大帝国の上級行政制度については、現行制度を凍結することを提案した。さらなる文献調査を実施して、後日改めて俎上することを提案し、この問題についての審議し解決を図るのである。現在余が考えている打開策は、フランスの半大統領制の導入である。半大統領制については先進国を対象とした比較政治の文献で大まかには理解をしたが、詳細な内実については、理解が足りない状態である。前述したように、解決方針でも知識不足で解決まで至らなかった。委員たる帝国宇宙軍最高司令長官も余が概説したフランスの制度をさらに研究して導入することが望ましいと同意した。これにより、大帝国の行政上の問題点を強く認識しながら、次回審議に解決が持ち越された。
結語
 本日は、13時30分から委員会審議を開始。18時45分に審議を終了した。この審議時間でほぼ大半を占めたのが、ここまで記述してきた問題である。帝国宇宙軍最高司令長官は、次回審議からは、大帝国の特に特定した分野を重点的に審議し、解決を目指すべきであると今次委員会審議期間中の進言した。本日はそのような一つの特定分野を委員会審議時間の大半を使って審議するという事態に予想を反して成ったのであった。

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