独習!政治学 二回目
Session2 政策対立軸
1.右か左か
右ーーー中道ーーーー左
自民党ー民主党ー共産党
保守的ーーーーー進歩的フランス革命後
議長席左:進歩派、旧体制の斬新的改革主張
議長席右:保守派、旧体制の保護
冷戦時代
左、人民民主主義(政治体制)、社会主義(経済体制)、東側陣営、ソ連、中国
右、自由民主主義(政治体制)、資本主義(経済体制)、西側陣営、米国、日本
現在
右左の明確な主義、体制区別が無く、あいまい。
個人の価値観の複数化、増加により、多様化。
個々の争点により判断する必要性。今後
再び一元的な主義や体制の対立構図復活OR複数の対立の維持(=市民価値観多様化)2.現代先進国の政治的争点
A:経済政策
公的資金、デフレ・インフレ対策、公共事業、民営化
グローバル化によるもの
規制緩和、市場開放、セーフガード(緊急輸入制限)
サミット、IMF年次総会 対 反グローバル化
反グローバル:多国籍企業や先進国主体の国際機構制度への反発。B:福祉政策
大企業優先の経済政策:夜警国家
高税率・高社会負担政策:福祉個か第二次世界大戦後、
欧州:社会民主主義
米国:民主党による福祉国家
1980年頃
新保守、ネオリベラル(新自由主義)
→市場の自律性を重視。政府介入を減らす。
英国:サッチャー政権
米国:レーガン政権
日本:中曾根政権
日本以外は、大胆な新保守的改革が実施された。
日本は、徹底された改革ではなかった。1990年頃
新保守主義の見直し。修正の機運。
社会民主主義即ち社会主義の影響。
但し、社会主義への回帰ではない。
失業者共済制度やセーフティネットの設置。
公的で活発な競争経済を促す(民主党の論理)C:安全保障
軍備規模、同盟、外交方針、:一国の安全保障を巡る問題。
日本、自衛隊や日米安全保障条約と9条の関係
冷戦後は、
イラク攻撃支持、不支持。
PKOへの自衛隊参加問題
沖縄米軍基地問題
国際、
ナショナリズムの噴出
→旧ユーゴスラビア、ルワンダ:激しい民族紛争
民族の一体制(ナショナルアイデンティティ)の強化
→急激なグローバル化への反動
ナショナルな一体制の強化派と批判派の対立。D:宗教
近代化による世俗化、脱宗教家を裏切る状態。
宗教勢力による政治の枠組みの揺るがし
Ex)9.11、パレスチナ紛争
米国右翼組織の民主党支持母体
オウム真理教、創価学会
靖国神社参拝問題宗教回帰、ナショナリズム復興
→伝統的な価値観の腹筋を目指す文化的保守主義の動き。
E:その他
文化的ラディカリズム
多数派の支配的文化による少数派の社会的進出や発言封じへの批判。
Ex)ジェンダー、家族、定住外国人、
多様なエスニック集団を持つ国々では、多文化主義(マルチカルチュアリズム)の展開Session3 一次元モデルから三次元モデルへ
1.政策の対立軸の多様性
現代の政策対立軸
政治統制:自由、対外・内秩序の度合い
強:福祉国家、 弱:夜警国家
経済統制:市場介入の度合い
強:社会主義、 弱:レッセフェール文化的統制:宗教、価値観、道徳
2.政策決定上の論理
空間競争モデル
中位投票者
投票のパラドックス
確認しておこう
1.戦後日本における政策対立軸を挙げよ
防衛、天皇制、憲法改正、労働者問題2.戦後の米国や欧州における対立軸と日本の対立軸との差異を答えよ。
日本と異なり、米国や欧州では国家基盤に関わる外交・防衛問題は対立が発生せず、
対立軸内でのコンセンサスが行われた。3.新しく生じつつある政策争点を挙げよ
環境、ジェンダー4.複数の政策対立軸がある場合、どのような問題が発生するか
明確な争点が見えにくく、論者も問題によって判断が異なる。
その為、中位投票者の意識の重視や投票のパラドックスの発生となる。キーワードの整理
保守的:旧体制への拘りや急速な変化を嫌う
進歩的:改革の着実な実行、旧体制の打破。
政策対立軸:政治上存在する意見の対立。戦後日本では、保守ー進歩がそれに当たる。
右:フランス革命後議長席右側に保守的な議員が集まったことから生まれた、保守派を意味する言葉。
左:フランス革命後議長席左側に進歩的な議員が集まったことから生まれた、進歩派を意味する言葉。
社会主義:私有財産制を否定し、国家による経済計画によって、経済が運用される経済体制。
資本主義:私有財産制を肯定し、経済活動が自由で利潤の追求を第一と考える経済体制。
大きな政府:福祉国家
小さな政府:夜警国家
レッセフェール:自由放任、経済活動に対して、政府が介入しないこと。
全体主義:国家、民族全体の考えを重視し、個人の自由を否定する思想。
無政府主義:アナーキズム、人間の完全な自由の為に、政治統制や経済統制、私有財産制度を否定する思想。 社会民主主義:議会制民主主義を認めつつ、斬新的に社会主義の実現を図る思想。
リベラル:自由主義、社会生活の個人主義や政治的自由を求める主張。
新保守:経済に対しては介入を押さえ、政治的な権力を増強する政治思想。
リバタリアニズム:他人の自由を侵害しない限り、個人の自由を最大限に認めるべきという思想。
中位投票者:空間競争モデルにおいて、グラフの中心部に位置する人。
空間競争モデル:中間投票者が多く支持する政党に、それより遠い政党が主張を中間層に合わせたものに、移行させるモデル。
投票のパラドックス:1つ以上の政策争点がある選挙において、ある点では、投票者にとって、良くある点では悪い政党の中で、最も望ましい政党を選ぶこと。
三回目に続く。